【 ふたご・つなげるプロジェクト 番外編 】

はじめに。

 

 

みなさんこんにちは、内田ゼミです。

 

今回は「多胎育児の問題」について理解を深めようということで、メンバーそれぞれが多胎育児について調べ、思ったことや抱いた印象について言語化することにしました。

 

デザインシンキングは共感することから思考が始まります。

また、今後私たちがふたごじてんしゃ / NPO法人つなげるのToCを作成していくにあたって、

「問題がどれほど複雑なのか」

「実際にママパパがどう感じているのか」

という現状の把握をすることは、必要不可欠で大切な過程です。

 

今回のこの作業を通じて問題を問題と認識し、多胎のママパパに共感すること、メンバー個人個人が自分なりに解釈することで、議論が活発になるでしょうし、よりよいToCが描けるようになると思います!

 

 

印象的な問題 / 所感

 

それぞれが言語化したものに関しては、3つのチームごとに発表していこうと思います!

まずは、チーム「ふたごのえほん」からです!

 

 

「ふたごのえほん」

メンバー

・ミジンコ

・うた

・ちーたけ

・桜河

 

 

○ミジンコ

 

【印象に残った問題】

私が最も印象に残ったことは、多胎育児の中で疲弊してしまう母親についてである。NPO法人つなげるの中原さんからの実際の声や、母親の孤育て問題や赤ちゃんや子供の虐待死問題に取り組んでいるNPO法人フローレンスの記事を読んで、自分が思っていたよりも問題は深刻であり、苦しんでいる母親が多いことを初めて認知した。

 

2019年11月7日に厚生労働省にて行われた、「#助けて多胎育児」の緊急記者会見の中で、3歳の双子を育てている方の、

「私は育児に向いていないと思い詰め、子供を殺めるか自殺しようか、どちらがいいか迷っていた。虐待死事件を起こしていたかもしれない。」

という言葉にはハッとさせられた。

 

育児による寝不足や身体的、精神的疲労は想像しただけでも壮絶なもので、今後も多胎の親になる家庭があることを考えると、社会全体でこれらについて見直さなければならないと考えた。

 

【思ったこと】 

多胎育児の大変さに関しては、子育てもしたことがない私には想像することしかできないし、大半の人がそうではないかと思う。しかし、これらについて社会全体で一人一人が認識し、理解を示すことで多胎のママは今よりもずっと生きやすくなっていくと考える。

 

一人一人が自分ごと化して考えること、実際に何ができるか考えること、具体的な行動に移せるようになること、を実現できる社会の仕組みを小さいところから始めていきたいと感じた。まだまだの理解は足りていないと思うが、少しずつ少しづつ、中原さんと大野さんの活動に貢献することがこの社会の仕組みをアップデートすることにつながると思うので、自分なりにできること、学生だからこそできることを生かして取り組んでいきたいと思う。

 

【参考資料】

https://www9.nhk.or.jp/nw9/digest/2019/11/1107.html

https://florence.or.jp/news/2019/10/post35127/

 

○うた

 

【印象に残った問題】

 ふたご以上の多胎家庭の保護者を対象に実施された「多胎児家庭の育児の困りごとに関するアンケート」によると、約9割が「外出・移動が困難である」と回答している。そのなかでも、私が特に印象に残った声は、「市の保健師や職員に、児童館や保育園の園開放に積極的に参加するように言われるが、一人ではなかなか連れ出せない」、「サポートの種類が行政にはいくつかあるようだが、そのサポートを受けるための移動が困難なことに気づいていただけていない」というものだ。複数人数の子どもを連れだす身体的負担や余裕のなさに加え、頼りになるはずの公共交通機関やタクシーさえ、積極的に利用できないという問題もある。そのため、多胎育児の大変さを家庭内で抱え込んでしまい、十分な支援を得られない現状がある。このように、多胎児家庭の育児の問題は、複雑で、簡単には解決できないことが分かった。

 

【思ったこと】

調べていくうちに、多胎育児の抱える問題の複雑さを実感することができた。複雑であるがゆえ、あえてToCを作成しているのだと理解でき、多胎育児の非当事者である私たちが、当事者であるママに共感をもって、寄り添うことの必要性を感じた。しかし、現在、多胎育児の大変さはあまり認知されていないため、まずは非当事者がこの問題を理解し、多胎のママに共感し、そして必要なアクションを起こすことが求められる。多胎家庭の抱える問題も複雑でありながら、潜在的な支援者である非当事者が、支援者となる過程も、段階的で複雑であると感じた。

 

【参考資料】

認定NPOフローレンス|新しいあたりまえを、すべての親子に。

https://florence.or.jp/news/2019/11/post35652/

多胎育児支援のポイント – 厚生労働省 

https://www.mhlw.go.jp/content/000509321.pdf

 

 

○ちーたけ

 

【印象に残ったこと】

多胎育児の問題の中で、私の印象に残ったものは、「公共機関での双子用ベビーカー」に関する問題である。 下記の記事には、ある多胎児のママが双子をベビーカーに乗せてバスを乗車しようとした際の運転手の対応が描写されている。そのママは、『乗りたいなら方法は自分で考えて ください。』『以前バスに乗ったことがあるなら、乗せた運転手が悪い。指導します。』 などと、運転手から心ない言葉をかけられたそうだ。 

 

このように双子用ベビーカーを広げたままの乗車を断られる事例は、稀ではないらしい。他のママの記事では、「2,3回断られたためもうバスを乗ることを諦めた。」「バスに乗れず、歩いて目的地に行く羽目になった。」などの悲痛な体験談も見受けられた。その中でも一番衝撃的だったものが、小児科医療を行っている病院に行くためにバスに乗ろうとした際に、誰一人として乗っていないのにもかかわらず断られたというものだ。他の乗客の動線確保を理由にするでも無く乗車を断れられ、病院ですらも選べない現状を直面したママの心の中は、様々なマイナスの感情で埋め尽くされただろう。 

 

こうした現状に対し依然、安全の確保のために折りたたむべきというバス会社の主張もあるが、1歳の子供1人でさえも平均して9キロの体重があるため、二人の子供を抱えながら重たいベビーカーを折りたたむのは、非常に困難である。 

やはり必要なのは、「社会全体」からの多胎育児への理解である。

 

【思ったこと】

中原さんが、「社会」という言葉を使われる意味を以前より理解できたように思う。この問題解決には、バスの運転手、乗客、乗車の一部始終を見ている地域住⺠の理解に加え、政府機関の支援の斡旋が必要になる。そのボトムとトップの両方を網羅的に含めて「社会」と表現していると感じた。

 

2020年3月31日に国土交通省が、「乗合バス車内では、ふたご乗りベビーカーを折り畳まずに使用できるよう取り扱うことを基本とする」見解を発表した。トップダウンの施策として、ふたごママが住み良い社会に変わる一歩となったが、やはり重要なのは、社会に属する個々人の理解である。例え広げたままベビーカーを乗せられたとしても、それを見ている乗客からの目線を辛く思うママがいる現状から、世間の一人一人が奮闘するママたちに対して理解を示すことが必要不可欠である。 

 

以上のことから、「社会」という言葉で、助け合いの風潮を促すトップダウンの支援 と、実際に理解し助け合う個々人の姿を現すボトムアップの支援の両側面を表しているのではないかと考えた。 

 

【参考資料】
朝日新聞 DIGITAL 『双子ベビーカーでバス乗れず 運転手は「交番に行って」』 

https://www.asahi.com/articles/ASN287WPLN26UPQJ00J.html

NHK 『双子ようベビーカーとバス乗車、考えてみた』 

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191111/k10012173371000.html

 

 

○桜河

 

【印象に残ったこと】

多胎育児における様々な問題で特に印象的だったのが、育児を頑張りながらも少しずつ衰弱していく保護者のメンタル面である。「外出・移動が困難」「自分の睡眠不足・体調不良」おいて肉体的な疲労もさることながら、最終的に起きてしまう虐待や虐待による死は、孤独や不安といった精神的な苦痛から引き起こされていると知り、多胎育児の壮絶さを痛感した。

 

私はこれまで、新しい命を授かることは、明るい未来の訪れや希望に満ちた生活など、ポジティブな印象しか抱いてこなかった。家族全員仲が良く、近親トラブルにもかかわりのない人生を送っていたからである。双子、三つ子にも縁がなく、中学や高校で出会った双子の友人には「仲良さそうで羨ましいな」くらいの印象を持っていた。子育ての裏で一人奮闘し、自分を励まし、それでも死にたくなる母親の存在はとても衝撃的である。精神の成熟した大人が「クローゼットの中にこもって時間が過ぎるのをただ待つ時間がある」。出産もそうだが、子育ては命がけなのだと、認識を改める大事な機会を得たと思う。

 

【思ったこと】 

中原さんの推進力はやはり並大抵のものではない。孤独で今にも道を誤ってしまいそうな誰かに手を差し伸べたい、自分以外の人も皆困った人にすぐ助けを申し出るような、そんな社会になってほしい。こんなにも壮大な目標を掲げ、実際にNPO法人を立ち上げ行動を起こすことは平凡な覚悟ではできないことである。だからこそ、この大きくて漠然とした野望には、ToCを当てはめて正しく明確なステップを踏んでゴールへ向かっていく必要があるとも思った。

 

ToCを作成するためには人の悩みや希望に耳を傾けることが必須である。中原さんの、人の言葉をひとつ残らず拾って取り入れようとする姿勢は、私達がToCを作成するにあったっても重要なスキルであると思う。当事者の立場になって考えることは、ToCの作成に奔走する私達よりNPOとして活動している中原さん達に学ぶことが多い。誰かの問題を自分のことのよう考えアクションに移し成果を出すには、どう思考し、行動するのが効率的か。正解に近づけるよう、引き続き追究していきたい。

 

【参考資料】

「悲痛な訴えが…多胎児を育てる親 過酷な実態」

https://www9.nhk.or.jp/nw9/digest/2019/11/1107.html

「認定NPO法人フローレンス」

https://florence.or.jp/

 

 

おわりに。

 

ここまで読んでいただきありがとうございます。

次回はチーム「Eureka」の各メンバーの思ったこと / 印象に残ったこと を紹介していこうと思います。

ぜひまた見に来ていただけたら嬉しいです!

 

 

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