ひとしさんチーム前期スライド

私たちは前期、「地方消滅2-加速する少子化と新たな人口ビジョン」(人口戦略会議, 2024)で少子化を抑えるためには結婚したい人が結婚できる、子供を持ちたい人が子供を持つことができる環境の必要性を知り、独身男性のひとしさんというペルソナを作成しました。



 ひとしさんは大学中退後、現在に至るまで非正規で働いていて恋人との結婚願望がありますが恋人の親から非正規雇用という理由で反対されています。また彼自身、時間もお金もなく、転職活動や資格取得に取り組めないといった問題も抱えています。

 

 はじめはひとしさんのような人が結婚できない理由は「資格や学歴がないため非正規から抜け出せないこと」、「会社の福利厚生や行政の転職支援が整っていないこと」だと考えていましたが、少し視野を広く考えることで実際はひとしさんが古い価値観にとらわれていることが問題なのではないかとわかりました。そこで以下のようなPOVを作成しました。



ここでの古い価値観とは「男性が働いて家計を支えるべき」「お金がないと結婚できない」「仕事を辞めるのは悪いこと」「学歴や資格がないと何もできない」といった考え方を指します。現在の中高年の世代がこのような価値観を持っていること・若い世代にこのような価値観を押し付けていることが、若い世代の選択に制限をかけていることが少なくありません。このような価値観から脱却することでライフプランやキャリアパスにおける自由な選択ができるようになると考えました。

 



上記のような古い価値観から脱却し、新しい価値観を取り入れる具体的な解決方法として「ライフデザイン学習拠点」を提案します。地域の空き家を拠点とし、都市部や地域から講師を招いてプロジェクトやセミナーを開催。そこで様々なバックグラウンドを持つ人たちとの交流を通して新しい価値観に触れることで、自身のライフプランの選択肢を増やすことにつながるのではないかと考えます。下記は既存の学習施設として存在する自由大学の詳細です。幅広い講座を展開しており、受けたい講座に申し込んで受講するといった単発型の学習システムです。新しい価値観を取り入れるにはぴったりですが、地方にはなかなか無かったり、NPO法人が運営しているがために、講師の方への謝礼が払えなかったりといった問題を抱えています。その実現可能性の問題点を補填するために「ライフデザイン学習拠点」は、講座内容を地域課題にフォーカスしたものにし、講師を地域に根ざしたスキルを持つ住民します。受講した人々が習得したスキルを活かし、その地域に還元することを目指しています。



~感想~

今回の少子高齢化をテーマとした一連のゼミ活動を通して感じたことは「深層まで考察することの重要性」です。当初、結婚できない理由として「お金がない」「支援が整っていない」など表面的な原因が多く上げられました。しかし、もう一歩踏み込んで「なぜ結婚しようとしないのか」という根本を突き詰めた結果、「古い価値観にとらわれているのではないか」という結論に達しました。この体験から、枝のような多くの小さな要因から幹のような大きなそもそもの要因をつきとめ、そこにアプローチしなければ現状はなかなか変化しにくいことに気づきました。この考え方は他の多くの事柄に応用できると考えています。例えば「遅刻が多い」「朝起きれない」ということは些末な要因であって、「私が非常に怠惰な人間である」という根本の問題を解決しないと状況は良くならないということです。ということで今から坊主になって山に修行に行きます。ありがとうございました。(内山)



少子高齢化についてグループで活動を進める中でペルソナの考え方の面白さを実感しました。はじめはひとしさんのような独身男性が結婚できないのは「行政の支援がないから...」「会社の福利厚生がよくないから...」といった外的要因にばかり目がいきがちでしたが、ペルソナの深堀をすすめるにつれて「ひとしさんだったらこう思うんじゃない?」「ひとしさんはこういうことなら興味を持ちそう」といったひとしさん自身の内的要因もふまえて考えることができるようになりました。ゼミで活動するまでは社会課題の解決のためにはただ現状を見て行政が手を打つことが必要なのだと考えていましたが、人の心情に踏み込むことで見えてくる課題があるということが分かりました。実際に体験しないとわからないことをたくさん知ることができた楽しい前期のゼミ活動でした!(杭田)





全員で少子化に関する異なる書籍を読みプレゼンする活動では、著者によって少子化の原因と考えているものが異なり、一つの側面から解決できるような問題ではないことを実感しました。また問題解決の策を考えるにあたり、その原因となる大元へのアプローチが重要であることを学びました。デザイン思考の活動では、相手の立場を始点として「何を欲しているのか」という問いを深めるスキルを楽しく学習できました。特に、想定したペルソナのニーズを考え、近い境遇の人へのインタビューをした際に考えもしなかったニーズが出てきた時は、自分の思考の浅さを実感時しました。しかし同時に、自分のデザイン思考のスキルの伸び代を感じ、より学習の意欲が湧きました。前期のこのゼミ活動で、私はいくつもの大きな壁にぶつかりました。自らの今までやったことがないような思考法だったり、取り組んだことのない問題だったり... しかし、そんなゼミの活動には私をより優れた男に成長させてくれるような希望を感じています!夏休みに入っても気を緩めず、ビッグな男になって高貴に活動に臨みます!ありがとうございました。今後ともよろしくお願いします🙇(堀)